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中学校におけるプログラミング教育の実態|課題や受験への影響は?
中学校におけるプログラミング教育の実態|課題や受験への影響は?
公開日:2022/10/19
更新日:2022/10/19
2021年から、中学校のプログラミング学習に関する取り組みが強化されています。ただ、実際にはどのような内容を学ぶのか、どのようなことを身につけられるのかよくわからない人も多いのではないでしょうか。そこで、本記事では中学校におけるプログラミング教育の実態や課題、受験に影響があるのかなどについて注目しました。
1.2021年度から強化された中学校でのプログラミング教育
まずは、中学校でのプログラミング教育についてどのようなものなのかを詳しく見ていきましょう。
1-1.プログラミング教育自体は2012年から開始
文部科学省が新学習指導要領を公表し、小学校から高校までのプログラミング教育が強化されました。ただ、中学校では2012年頃からすでに技術・家庭科の授業のなかで「情報の技術」としてプログラミングを取り入れています。2020年からは小学校でプログラミング教育が必修化されました。小学校での目的は、基本となるプログラミング的思考を育てることです。一方、中学校におけるプログラミング教育での目的は「実際にプログラミングで課題解決ができるようになること」となっています。
1-2.新学習指導要領による変更点
新学習指導要領による変更は主に2点です。ひとつは「デジタル作品の設計・制作」で、「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」となりました。また、「プログラムによる計測・制御」は「計測・制御のプログラミングによる問題の解決」に変更されています。さらに、内容はより発展的となり、相互通信、プログラミングによる問題解決なども盛り込まれるようになりました。細かな点では、これまで「プログラム」と記載されていましたが、変更に伴って「プログラミング」と記載されています。
2.中学校におけるプログラミング教育の実態
中学校ではどのようなプログラミング教育が行われているのか、その実態は以下のようなものです。
- ・学習内容
- ・実践事例
- ・指導教員
2-1.学習内容
中学校のプログラミング学習は授業科目「技術」のなかの「情報の技術」に含まれており、4つの観点から学習が進められます。「生活や社会を支える情報の技術について調べる」「生活や社会における問題を、ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによって解決する」「生活や社会における問題を、計測・制御のプログラミングによって解決する」「これからの社会の発展と情報の技術の在り方を考える」です。具体的な実践例は、以下でまとめています。
2-2.実践事例
中学校で実際に実践されている4つの観点に関する授業例を挙げてみました。
2-2-1.実戦事例1
「生活や社会を支える情報の技術について調べる」の授業として、顧客のニーズに合った無人のコンビニプログラムを作るという授業が行われました。こちらは、コンビニという身近な店で利用されているPOSシステム(販売時点情報管理システム)の働きを疑似的に体験する授業です。ただし、コンビニは無人店であるという条件で行っています。
授業では、POSシステムを模した教材を用意しました。生徒は買い物やデータ分析の体験をしたうえで、おすすめの商品を紹介するプログラムを作成します。データ分析は顧客の年代と性別をクロス集計し、顧客に合った商品の表示がされる工夫も行いました。あえて無人店という設定にすることで、顧客のニーズや制約条件を明確にし、システムの問題解決に関する工夫などに気づけるようにしているのが特徴です。
2-2-2.実戦事例2
「生活や社会における問題を、ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによって解決する」の授業として、AI技術の活用をした事例もあります。こちらは「AI(人工知能)画像認識技術で社会の問題を解決しよう」というテーマで行われました。Scratchの画像認識拡張ブロックを使用し、プログラミングをして問題解決に取り組んでいます。無人レジシステムを作り、生活・社会の問題を見つけ、AIブロックを活用したコンテンツをプログラミングして問題解決を行うものです。こちらの事例では、顧客側とシステム開発側両方の立場からAIの良さや働きを活用できる場面を考えることができます。
2-2-3.実戦事例3
「生活や社会における問題を、計測・制御のプログラミングによって解決する」の授業として、ある中学校では「2025年の人口の推移から21歳の自分たちが直面する社会」をテーマに取り組みました。医療機器の開発や創造、普及をした理由と過程を追究して問題を発見します。さらに、患者が求めているニーズに対し、生徒がすでに学んでいる技術シーズをどのように活かして問題解決を目指せばよいのかを考える授業です。また、生徒自身が患者の立場となって潜在的ニーズを発見できるように、医療機器メーカーや販売会社、医療機器の研究を行っている大学教員と共同して取り組んでいます。そのうえで、技術的イノベーション力を高める工夫を行いました。
2-3.指導教員
学習指導要領が新しくなりましたが、プログラミング教育を行う教員については従来のままです。ただ、指導力の向上のために新しくなった学習指導要領の説明会が開催されたり、独立行政法人教職員支援機構が行う夏休み研修に参加したりすることが可能です。また、YouTubeに解説動画の投稿をしているため、わからない部分は何度でも見返せます。さらに、メーリングリストを用意しており、そのなかで良い実践事例について紹介されているので参考にすることも可能です。
3.中学校におけるプログラミング教育の課題
中学校でプログラミング学習を行う場合、課題もないわけではありません。こちらでは、どのような課題があるのか、以下4点でまとめました。
- ・小学校~高校まで一貫した教育の実施
- ・教師の指導力
- ・設備投資の必要性
- ・セキュリティの脆弱性
3-1.小学校~高校まで一貫した教育の実施
小学校から高校までプログラミング学習が必修となりましたが、それぞれの段階での連携がとれていない状態です。具体的には、小学校で学ぶ内容については各校に任せられているため、バラついています。学習内容はプログラミングに関する文字入力や論理的思考など、直接的な技術に関わるものではありません。ただ、学習内容の進め方が異なる以上、複数の小学校から各校の卒業生が1つの中学校に進学して学ぶ場合、習得内容に差が出てしまいます。そのような状態にならないためには、中学校での学習方法に工夫が必要です。
3-2.教師の指導力
中学校でプログラミング学習を担当する多くの教師は、専門的にプログラミングを学んだ経験がない状態から指導しなければなりません。文部科学省が主導して教師の研修も行われていますが、全体的な底上げには時間がかかると考えられています。教員にとっても指導するのが難しい内容であるため、負担が大きくかかる可能性がないとはいえません。そのため、教師の負担をできるだけ減らし、生徒にとってもわかりやすい授業になるように新たな教材を作成したり、指導例を公開したりといった工夫が必要です。
3-3.設備投資の必要性
プログラミングにおいてはパソコンなどのIT機器を使用した授業が多くなります。しかし、投資予算の少ない学校では、生徒全員がしっかりと学べるような設備を十分に用意できないケースも少なくありません。そのような場合、学校によって教育環境に差が生まれる可能性があります。パソコンやタブレットなどは1台1台がそもそも高額ですし、生徒の人数分以外にも使用しているパソコンに何かあったときのために予備を用意しておく必要もあるでしょう。現状として、パソコンなどの設備の用意は各校が行わなければならないため、設備投資の問題は優先的に解決する必要があります。
3-4.セキュリティの脆弱性
生徒はIT機器や情報などの取り扱いに慣れていない場合が多いため、保存データの保護は大きな課題です。セキュリティのルールは各校によって異なりますし、セキュリティにこだわりすぎるとプログラミング学習において不便が生じる可能性があります。たとえば、USBメモリの禁止、インターネット上からソフトウェアをインストールするのは禁止などです。
学校によっては、USBポートやWi-Fiの利用をするために教育委員会などの許可が必要になるところもあります。教師の権限では許可できないため、授業の進行に大きな影響が出てしまうでしょう。しかし、情報漏えいなどを起こさないようにするにはセキュリティ面を緩くすることも難しいのが現状です。教師・生徒どちらも周知徹底が必要になります。
4.プログラミング必修化による受験への影響
プログラミングの必修化は受験にも影響してしまいます。たとえば、プログラミングは「技術」の授業として行われているので成績が内申点に影響するため、受験という意味では技術の成績も重要です。また、2025年には大学の入学共通テストに「情報」が追加される予定となっています。中学生の大学受験は少し先になりますが、入試科目として意識したうえで勉強しなければなりません。高校を受験する際に推薦入試となる場合は、プログラミングの作品やコンテストなどの結果が評価される可能性もあります。早い段階でプログラミングに慣れ親しんでおくことは、非常にメリットが大きいといえるでしょう。
5.中学生がプログラミングを積極的に学ぶ価値とは
学校の授業だけではなく、子どもへのプログラミング教育が注目されています。プログラミングはIT化が進む時代のなかでニーズがある技術であり、社会人として働くようになってからも役立つ論理的思考力や創造性を養うことも可能です。また、プログラミングの技術を身につけること、プログラミングを通してITリテラシーを高めることは将来の選択肢を大きく広げるきっかけになります。たとえば、生徒それぞれが作った作品にCCライセンス(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス)のシールを貼り、ほかの人が参考にできるようにした学校もありました。CCライセンスとは、再利用してもよいという著作者の許可のことです。プログラミングを極めれば、将来的に起業、特許の取得などにつながる可能性もあるでしょう。
6.中学生におすすめのプログラミング言語と学習方法
こちらでは、中学校の授業以外でプログラミング学習を進める場合におすすめのプログラミング言語や学習方法を紹介します。
6-1.おすすめの言語
簡単なものからはじめたい場合は、小学校から利用できるScratchなどの無料ツールがおすすめです。ビジュアル言語と呼ばれているタイプで、視覚的な操作ができることから、非常にわかりやすいのが特徴となっています。ブロックに文字が書かれており、それをドラッグ&ドロップするだけなので簡単ですが、複雑なアニメーションやゲームの作成ができる優れものです。自分が作成したゲームを公開して世界中の人に遊んでもらうことができます。また、公開されているゲームで遊び、プログラムを参考にすることも可能です。
本格的に学びたい場合は、大人も使用しているPythonやJavaScriptなどを学ぶのもよいでしょう。ただ、これらのコードは英語が使用されているため、多少の英語力が必要です。Pythonは特に注目されているプログラミング言語で、充実したライブラリがあります。AIの研究にも使用されているため、こちらを中学生の段階から学び始めるのもよいでしょう。英語に触れる機会を増やすことにも役立ちます。
6-2.おすすめの学習方法
学校以外でプログラミング学習をするのであれば、書籍やWebサイト、プログラミング教室の3つの選択肢があります。書籍やWebサイトでの学習は自分のペースで行えますし、パソコン以外に大きな費用がかかりません。ただ、行き詰ったときに質問できないため、挫折してしまうことが多い学習方法でもあります。プログラミングスクールは自分のレベルに合った最適な学習プランを設計してもらうことができ、何かあったときにもフォローを受けられるので挫折しにくいのがよいところです。
たとえば、プログラミング教室の「プログラミング教育 HALLO」では論理的思考力や問題解決力、pythonのテキストコーディング、将来的に大学入試を受けるための対策、正確で速いタッチタイピングを身につけることができます。タイピング技術は学校で教えるのが難しいとされており、教室で身につけられるのはメリットといえるでしょう。しかも、オリジナル教材のPlaygramを使用してゲーム感覚で楽しみながら前述したスキルを養えるのが魅力です。通常は最寄りのスクールに通って学びますが、オンライン校もあるので状況によって選択できるのがよいところです。
中学生も積極的にプログラミングを学んでみよう
中学校でのプログラミング教育は、IT化がますます進む将来に向けて技術と経験を積むことができます。プログラミングができる人材は需要が高く、積極的に学んでおくと子どもの選択肢が広がります。「プログラミング教育 HALLO」では個別学習塾で実績がある「やる気スイッチグループ」のメソッドを取り入れた個別最適レッスンやオリジナル教材Playgramで楽しみながらレベルアップできます。無料体験も可能なので、気軽にお問い合わせください。
執筆者:プログラミング教育HALLOコラム編集部
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