この記事の目次
スクラッチとは?プログラミングをはじめるのにおすすめ!ゲームの作り方・遊び方を紹介!
スクラッチとは?プログラミングをはじめるのにおすすめ!ゲームの作り方・遊び方を紹介!
公開日:2022/11/29
更新日:2024/09/09
プログラミング教育必修化により、プログラミング学習に関心を寄せる保護者が増えています。しかし、「子どもに習わせるには難しいかも」と二の足を踏んでいる保護者の方も多いのでは?
一見、子どもにはハードルが高そうなプログラミングですが、実は小学生でも楽しんで学べるのが「スクラッチ(Scratch)」というプログラミング言語です。
ここでは、「スクラッチ」の特徴や使い方、楽しみ方などをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1.スクラッチ(Scratch)とは?
「スクラッチ(Scratch)」は、2006年にアメリカのマサチューセッツ工科大学(略称:MIT)のメディアラボで開発され、パソコンのデスクトップで動かせるアプリケーションとして2007年にリリースされました。さらに、2013年にはWebブラウザ上で操作できるアプリケーションとしても公開されたことでさらに人気に拍車がかかり、10年以上経つ現在でも強い人気を集めています。
それを証明するようにスクラッチのファンで構成されるコミュニティは、今や子ども向けとしては世界最大規模を誇るまでに成長しています。そのコミュニティを支えているのは、非営利団体のスクラッチ財団の存在です。
「世界中の子どもたちがコードを通じて創造性を表現できるように、スクラッチを無料で利用できるようにする」というビジョンを掲げ、2013年の設立の翌年から資金提供がされています。
そんなスクラッチは、従来のプログラミング方法とは異なった手法を使い、プログラムを作れるのが特徴的なプログラミング言語です。従来のプログラミング言語は文字をベースにしたものだったため、プログラミングには命令文の文法を覚える必要がありました。それが、習得のハードルを高める要因にもなっていました。ところが、スクラッチでは「ブロック」というものを使うことで、そのハードルを大きく下げたのです。
機能が割り当てられたブロックをつなぎ合わせてプログラムを作り上げる、スクラッチ独特の視覚的で直感的な操作が、子どもを含む多くの人たちにプログラミングを楽しく学ぶ機会をもたらしました。
ブロックでのプログラミングは、思いついたアイデアをすぐに実行できるため、子どもの豊かな創造性を養うのに大いに役立つと期待できます。
プログラミング教育の必修化に伴い「プログラミング」が必要に
どんなプログラムを作るにしても、都度出てくる課題と向き合い、自ら考えてその答えを形にしていくという過程を経ます。これら一連の流れを繰り返し体験することで、子ども自身の課題と向き合う力(課題解決能力)や考える力(論理的思考力)、想像したものを形にしていく力(創造力)として身に着いていきます。
こうした能力は、社会に出てから必要になるのではありません。今の勉強でも必要なものばかりです。小学生のうちからスクラッチに触れることは、子ども自身にとって日々の学びと粘り強く向き合う力を養うことにもつながります。
また、スクラッチは操作性もゲーム性があって楽しいものですから、楽しみながら力をつけていくことが可能です。
2.スクラッチの主な特徴4選
学校の教材にも用いられているスクラッチは、世界中にユーザーがおり、大変な人気を博しています。その人気の理由にもなっているのが、次の4つの特徴です。
- 年代を問わない表現力の豊かさ
- 直感的な操作性
- 導入のしやすさ
- 多言語対応
それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
2-1.年代問わず人気がある
スクラッチのもともとのメインターゲットは、8~16歳までの子どもでした。ところが、ブロックという単純なアイテムで多彩なプログラムを作成できる表現力の豊かさから、大人の利用にも十分応えられたことで16歳以上の年齢層にも高い人気を博すようになり、現在に至っています。
パソコンがある家庭ではスクラッチを親子で楽しむ光景が珍しくなく、海外の教育現場では小中学校だけでなく大学でも採用されているほど、身近なものになっています。プログラミング学習における用途としてはもちろんのこと、数学や社会の授業でも活用されています。
また、8歳以下の子ども(対象年齢:5~7歳)に向けては、簡易版の「Scratch Jr.(スクラッチ ジュニア」がリリースされていることも、幅広い世代から人気が集まる要因になっているのだろうと推察されます。
2-2.直感的に操作できる
スクラッチの大きな特徴の一つともいえるのが、直感的な操作性です。スクラッチでプログラミングをするには、8つに色分けされたブロックを使います。これらブロックには、それぞれに命令が割り当てられていて、それらをプログラミング作成用の画面に配置するだけでプログラムを簡単に作り上げられるようになっているのです。
このときの操作がとても単純明解で、物理的なブロックを積み重ねるようにつなぎ合わせていくだけなので、小さな子どもでも頭の中のイメージをそのまま形にしやすくなっています。
文字ベースのプログラミング言語であれば、命令文の文法などの知識、命令のルールなどの概念といったものへの理解が必要です。それらがなければ、プログラムを作ることも、まともにプログラミングすることもできないため、子どもが扱うにはハードルが高すぎます。
スクラッチの場合、そうした細かな約束事を理解せずとも扱えるため、ブロックをつなぐコツさえつかめば、プログラミングできるように作られているのです。そこが、年代やスキルレベルを問わずにプログラミングを楽しめる大きな理由にもなっています。
2-3.無料かつ導入がしやすい
スクラッチが世界中の広い世代に普及している理由にもなっているのが、無料で導入しやすい点でしょう。初心者向けのプログラミング学習教材の中には、専用のタブレットやソフトウェアを準備しなければならなかったり、利用料として数万円の費用がかかるケースもあったりします。その点、スクラッチはパソコンとインターネット環境さえあれば、無料で今すぐにでも始められるのです。
スクラッチには、Webブラウザ上で動くオンライン版と、パソコンにインストールして使えるオフライン版がありますが、どちらも費用はかかりません。オフライン版の場合、一度インストールしてしまえば、インターネット環境のあるなしにかかわらず、自分に都合のいい場所で楽しくプログラミングが学べます。
また、2019年の1月にリリースされたVer.3.0からは、スマートフォンやタブレット端末でも動くため、ますます利便性が高まっています。
2-4.多言語対応している
現在、スクラッチは200を超える国と地域で利用されています。日本語を含む70以上の言語に対応しており、ひらがなでの表示も設定できるため、まだ漢字が読めない子どもでもプログラミングを楽しめるようになっています。
これであれば、漢字を習いたての小学校低学年でも安心して学べるのではないでしょうか。また、世界のさまざまな言語にも変更が可能ですから、英語やそのほかの国の言葉の勉強にも役立つかもしれません。
プロが扱うような本格的なプログラミング言語は、アルファベット表記のものがほとんどで、日本語で表記できるものはほぼありません。ですから、ある程度スクラッチのプログラミングに慣れたら、表示設定を英語に変えてみるのもいいのではないでしょうか。
プログラミングを学びつつ海外の言葉も学べるのは、スクラッチだからこそといえるかもしれません。
3.スクラッチを学ぶメリットやデメリット
スクラッチを小学生で学ぶメリットには次の3つが挙げられます。
- ① 直感的学習で理解しやすい
- ② 創造性を発揮しやすい
- ③ プログラミング自体への興味を持つきっかけになりやすい
スクラッチはゲームのようにブロックを配置していけばいいだけなので、難しい理論などは抜きに視覚的なところからプログラミングの概念への理解を深めやすくなっています。また、その操作性の容易さが創造性を発揮しやすく、それがプログラミングの楽しさを覚えやすいのです。
一方、デメリットには次の3つが挙げられます。
- ① 機能制限がある
- ② 複雑なプログラムが組めない
- ③ 使用価値が教育や趣味の範囲に限定されてしまうこと
ブロックを操作するという操作性が、他のプログラミング言語と比べて機能の柔軟性を失わせる要因になっています。そのため、単純なプログラムしか組むことができません。それが結果的に、実際の開発現場で使用するにはスクラッチでは力不足という現実を引き起こしています。
4.スクラッチの基本的な使い方・遊び方
スクラッチはとてもシンプルに使えるようにデザインされていますので、はじめ方もとても簡単です。まず、スクラッチの公式サイトにアクセスして、ユーザー登録をします。
- ① トップ画面にある「Scratchに参加しよう」をクリック
- ② ユーザー名・パスワード・住んでいる場所・メールアドレスなどの項目を入力して送信
- ③ 返送されてくる認証メールを確認して認証を完了
認証を完了した段階でユーザー登録が完了しますので、この直後からスクラッチを操作することができるようになります。
遊び方も簡単です。最初に表示される画面の上に「作る」「見る」「アイデア」のボタンが用意されています。
「見る」を押すと、新規プロジェクト作成画面が開き、早速プログラミングを始めることができます。
スクラッチで新しくプログラムを作るときには、この操作で簡単に始めることができるようになっています。
また、初期画面の「見る」ボタンを押せば、他のユーザーの作品を見たり遊んだりできます。
ここから世界中のスクラッチユーザーが作ったアニメーションやゲームなどに触れて、自分のプログラムの参考にするのもおすすめです。
初期画面の「アイデア」を押すと、基本操作を確認することもできます。
アニメーションの作り方や音楽の作り方、ゲームの作り方などさまざまな操作をジャンル別に確かめられるので、作品づくりでつまづいたときにはぜひ使ってみましょう。
このほか、自分が作った過去の作品は、画面右上に表示されるユーザー名横の▼マークを押せば「私の作品」というメニューが表示されます。それを選ぶと、作品一覧が表示されるようになっています。プログラミングの途中でスクラッチをやめても、ここから再開することができます。
スクラッチで作られたみんなの作品で遊ぼう
他のユーザーの作品で遊ぶには、まず、初期画面の左上にある「見る」にアクセスします。
デフォルトで「作品」タブにある他ユーザーの作品が表示されます。
ここにあるのは、MITラボのスクラッチチームが選んだおすすめの作品たちです。アニメーションやゲーム、物語などジャンル別に探すこともできるので、気になる作品を選んで見てみましょう。
また、「スタジオ」タブでは、同じくジャンル別に自分の作品を投稿したり、他のユーザーが投降したりできるようになっています。作品ができたら、ぜひ投稿してみてください。
話を戻します。
「作品」タブで作品を選んだら、その作品の画像と遊び方や説明が書かれた画面が表示されます。
作品の画像中央にある旗マークを押すと、作品のプログラムが実行されます。
画面左下にある☆マークを押せば、その作品をお気に入り登録でき、いつでも見返せます。
また、画面右上にある「中を見る」ボタンを押せば、その作品のプログラムが見られます。さらに画面を下にスクロールさせると、その作品がどのように改良されてきたのか「リミックス」から確認できます。「こんなふうに動かしてみたい」と思うものがあれば、ぜひチェックしてみましょう。
「リミックス」メニューの右側には、コメント欄があります。ここで作者であるユーザーとやりとりできるようになっています。面白い作品と出会ったら、感想をコメントに残して伝えてみるのもいいでしょう。
5.スクラッチで自作のゲーム・キャラを作ろう
キャラクターは、「Costumes」タブで作れます。他のイラスト作成ツールで作り、アップロードして使うことも可能です。
「作る」メニューで新規プロジェクトの画面を開くと、最初にスクラッチのマスコットキャラクターである黄色いネコが表示されます。
ここで画面左上の「Costumes」タブを選べば、プログラミング画面からエディタ画面に切り替わり、キャラクターを作成できるようになっています。キャラクターは、コマ送りのイラストを描くように1枚1枚作っていくと、動きが滑らかに見えます。
そうして作ったキャラクターに、今度は「Code」タブで動きを付けていきます。
画面左にあるブロックから、必要なものを選んでつなぎ合わせて動きを指定すれば完成です。
6.スクラッチで実現できること
スクラッチでできることは、プログラミングの学習だけではありません。ゲームやアニメを作成したり、自分が作った作品を世界中の人とシェアしたり、他の人が作ったプログラムを自分の作品に取り込むこともできるのです。
6-1.ゲームやアニメを作成できる
スクラッチでできることの中で、子どもたちに最も人気なのがゲームやアニメの制作です。それらの制作は、一般的に非常に高度で専門的なプログラミング知識が必要とされますが、スクラッチでは必要ありません。チュートリアルが用意されていて、それに従って操作するだけですから、小学生でも簡単に思い通りの作品が作れるようになっているのです。
登場させたいキャラクターや背景についても、一からすべてを作る必要がないのも人気の理由の一つだと考えられます。「スプライト」と呼ばれる予め用意されたパターンをそのまま使うこともできますし、オリジナリティーを高めたければ、手を加えて使うこともできるからです。
難しい操作をせずとも、かなり細かい部分まで作りこめるため、こうしたところもスクラッチが人気を集める要因になっているのでしょう。
6-2.世界中の人と作品をシェアできる
スクラッチの楽しみ方の一つにも挙げられるのが、作った作品をシェアして、世界中のユーザーと楽しめる機能を備えている点です。その機能を果たしているのが「Scratchコミュニティ」と呼ばれるオンラインコミュニティの存在です。ここを通じて、自分の作品をシェアしたり、他のユーザーがシェアした作品を楽しんだりすることができるようになっています。
それだけでなく、その作品がどんなプログラムで動いているのか、動作の仕組みを見ることもできるようになっているため、自分の作品づくりに活かすことも可能です。また、作者であるユーザーに対してコメントを送る機能もあり、スクラッチを通して世界中のユーザーと交流できるのもスクラッチの魅力の一つでしょう。
見知らぬ人との交流は、子どもが幼いほど保護者にとっては心配の種になるかもしれません。ですが、安心してください。スクラッチのコミュニティでは、適正に運用するためのガイドラインが整っていますから、小さな子どもでもトラブルなく利用できるようになっています。
6-3.他人のプログラムを自分の作品に活かせる
スクラッチの機能の一つに、他のユーザーが作ったプログラムを自分の作品づくりに活かせられるというものがあります。それには、プログラミング言語としての「スクラッチ」のコンセプトが関わっています。名前の由来にも通じるのですが、スクラッチという言葉には、「作品を一から作ることにこだわらず、今あるものを組み合わせて新しく創造することを目指す」という意味が込められているのです。
ユーザーたちは、そのコンセプトに従って共有された作品の一部に変更を加えたり、自分の作品に取り入れたりできるようになっています。たとえば、見た目が複雑な作品でも、プログラムを見れば、どのような指示で動いているのかがわかります。こうしたところから、他のユーザーが考えたプログラムを参考にして、自分の作品の改善点を見つけ出したり、クオリティーを上げたりすることが可能になります。
7.スクラッチを利用する際の注意点
スクラッチは、数多あるプログラミング言語の中でも特にビジュアル操作に特化したプログラミング言語です。実際の開発シーンで使われるような文字ベースのプログラミング言語と基本的な考え方には共通する部分はあるものの、できることには制約が伴います。そうした点で、スクラッチは初級者の中でも初学者向けだといわざるをえないのは確かです。
しかし、本格的にプログラミング言語を学ぶにしても、プログラミングのイメージがつかめていなければ、習得が進みづらいものです。その点、スクラッチは視覚的かつ直感的にイメージがつかみやすいため、本格的なプログラミング言語に触れる最初のステップとしては適切な教材といえます。
スクラッチにはたくさんのサンプルプログラムが用意されていますから、それらを活用すれば、プログラミングの習熟度を高めながら、プログラミングというものの基礎イメージを固めることも可能です。まずはスクラッチで楽しみながらプログラミングに慣れ、それから高度なプログラミング言語へシフトチェンジするのがベストかもしれません。
その場合、解説書を購入して試行錯誤するのもいいですが、やはりプログラミング教室でわかりやすい解説を受けながら段階的に学ぶほうが効率的に習得しやすいでしょう。
8.プログラミング教育 HALLOでプログラミング言語を学ぼう!
スクラッチについてご紹介してきましたが、それだけではいずれ学ぶ高校のプログラミング教育についていけないのでないかと心配される保護者の方もいるのではないでしょうか? そうした心配をお持ちであれば、プログラミング教育 HALLOで本格的なプログラミングを学ぶこともぜひ検討材料に入れてみてください。
プログラミング教育 HALLOでは、一人ひとりの成長速度に合わせたレッスンと、ゲーム感覚で学習できる教材でスキル習得をサポートしていますので、お子さんのスキル向上を後押ししてくれるはずです。
9.まとめ
小中学校のプログラミング教材にもなっているスクラッチは、プログラミングに初めて触れる子どもには理解しやすく、とても楽しいものです。しかし、それだけでは、実際に産業分野で使われるプログラミングスキル習得のレベルに達するのは困難です。
本格的なプログラミング言語の習得について「まだ早いかな?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、学ぶ時期が早いほど習熟度も理解度も深まりやすくなりますから、決して早すぎるということはないでしょう。
また、本格的なプログラミング言語を学ぶことは、目先の将来だけでなく、社会に出るときの選択の幅を広げることにもつながります。ぜひ前向きに考えてみていただければと思います。
執筆者:プログラミング教育 HALLOコラム編集部
更新日:2022/12/02
タイピングは小学生から始める?練習の仕方やおすすめアプリを紹介
プログラミングの小学校必修化を受け、子どもにタイピングを習得させることを検討している親御さんも多いでしょう。IT系企業に限らずパソコンを使用しない企業はほとんどなく、タイピングを習得しておいて損をすることもありません。
更新日:2022/11/26
スクラッチとは? 小学校のプログラミング授業でも使われる学びやすい教材
小学校でプログラミング教育が必修となりましたが、多くの小学校の授業で採用されているプログラミング教材が「スクラッチ(Scratch)」です。学校教育に限らず、スクラッチを使用すると、小さな子どもから大人まで気軽にプログラミングを学べることから認知度が高まっています。